What is "Pace Method"?

ペース・メソッド。

「名前はよく聞くけれど…実際どういうものなの?」とお思いの方も多いと思います。

出来る限り簡潔でわかりやすい説明をペース・メソッド基本概念と共にご説明いたします。

 

ちょっと真面目なお話、お時間が許す限りごゆっくりとご覧ください。

 

【本文引用・参考】

Pace Method Japan 事務局

 

1. ペース・メソッドとは

ロバート・ペース博士によって考案された新しい理念と実践に基づいたピアノ指導法です。

  • 知的理解力(頭)
  • 感情(心)
  • 末端神経系(指)

の3つの機能をバランス良く使えるようになります。

指導から上級まで一貫したピアノ指導法です。


【Check】

Dr.Robert Pace (1924~2010)

 

米カンザス州出身。

ジュリアード音楽院でレヴィーン夫妻に師事し、その後音楽教育の充実を実感し、コロンビア大学院で博士を修得。同大学院で教鞭を取るかたわら、幅広く教育全体の視野から捉えようと各種心理学を探求。それらを元に科学的に合理化してぴあの指導法の理念と実践を確立し、革新的な『ペース・メソッド』を編み出した。

その後、同学部ピアノ部門主任教授として教鞭を取りながら、音楽教育の向上を目指してIPTF(International Piano Teaching Foundation)を立ち上げ、ピアノ指導者の育成に尽力した。

1970年代よりしばしば来日。終生ピアノ教育向上のために全米及び国外で幅広い活動をおこなった。


2. ペース・メソッドが目指すもの

人間形成に関与する3つの分野の調和

  • 知的理解(頭脳)
  • 感情(心)
  • 筋肉運動(指)

ペース・メソッドでは、これら3つの機能をバランス良く発達させる指導法です。

同時にこの3つの人間の基礎的機能をバランスをとって開発すると、その過程では総合的に応用自在の能力がつきますから、成長期の子どもたちが高いレベルで自発的に音楽を楽しむようになります。

また、グループ・ピアノ指導を通して調和性を身につけ、同時に個性も育てますから、情操教育として大きな役割を果たします。

このような音楽教育は、より良い人間形成に貢献すると言えます。

その意味で、ペース・メソッドは音楽の適切な方向を示しています。


3. ペースメソッドの特徴

1)スパイラル・ラーニング ”らせん学習”

下から上へ、らせん型に広がっていくように能力の開発を積み重ねていく学習法です。(図1)

”らせん学習”では、結果よりもまず学習過程を重視します。(図2)

学習者の内面で起こる探求、工夫、発見、想像、といった過程を通すことにより、学んだことを学習者自身のものとし、内面に貯蔵していこうというものです。

そして、それらを交互に関連させ合い応用することで演奏能力を開発していきます。



2)バランスド・ダイエット(バランスの取れた学習法)

演奏能力を開発するためには、そのために必要な3つの機能(頭・心・指)が、しっかり認識力に支えられて瞬時に三位一体となって働かなければなりません。(Thinking in motion:行動しながら思考する)

バランスド・ダイエットは、そうした総体的な音楽性開発のためのものです。

また、”らせん学習”を実現するためには、様々な角度からのアプローチが必要です。

そこで、音楽の演奏に必要なあらゆる能力の開発のために、多様な項目を毎回のレッスンでバランス良く扱っていきます。



3)導入から上級まで一貫した学習とテキストの完備

全レベルを通して構築されたカリキュラムにより、”らせん学習”やバランスド・ダイエットが実現できるようになっています。

  • 初級:初級で扱う簡単なもの(まず最小単位を把握する)
  • 中級:中級レベルで扱う曲の中にも含まれている
  • 上級:上級レベルの曲の中にも応用していく

最初に、最小単位のものを”らせん学習”であらゆる角度からのアプローチを行います。

それらはレベルが上がるにしたがい複雑になり長くなっていきますが、上級レベルになるとそのような引き出しがたくさんできていて、応用力によって楽に扱えるようになります。



4)徹底した全調メソッド

全部の調性を最初から扱っていく本格的な全調メソッドです。

鍵盤のためのメソッドとして、理論的角度からとらえると同時に、鍵盤上の触覚開発という角度から徹底的に追求された学習が行われます。



5)あらゆる様式の音楽を最初から扱っていく

  • 長調
  • 短調
  • 復調
  • 全音音階
  • 四度和声
  • モード
  • ペンタトニック
  • 複和音
  • ブルーススケール
  • 12音音階
  • 対位法


6)グループ・ピアノ指導

らせん学習やバランスド・ダイエットを理想的な形で行っていくために、教育理念の本質的な考え方を基盤にしたグループ・ピアノ指導を行います。

生徒同士の音楽を通しての相互作用を利用して、個性と個性のふれあいによる、良い意味での刺激を活発にしようというものです。

グループ・ピアノ指導は、大グループと小グループからなっています。

 

 【大グループ】

バランスド・ダイエットを実践しながら、生徒の特徴を出し合い吸収し合います。先生は、全員の個性が相互に作用し会えるように助け、促進する役です。

 

【小グループ(パートナー・レッスン)】

音楽の細部を聞き取れる耳を育てるための2人組(パートナー)による互助レッスンです。

ここでは曲目演奏のためのレッスンが行われます。

大グループで行ったことを曲目演奏につなげていきます。

 

方法としては、1人が弾いている間、もう1人の仲間が聴きます。そして弾き終わったら意見を言い一緒に演奏の内容を掘り下げます。これを積極的に行うことにより、洗練された演奏へと導きます。



7)自発性の開発・協調性の育成

これらのレッスン形態は、ピアノレッスンや自宅練習においても生徒の自発性を総合的に開発していきます。


4. ペースメソッドの教材

下記の表は、導入から上級までのテキスト、併用曲(レパートリー)、副教材などです。

レベル テキスト 併用曲 副教材

MUSIC for PIANO

リサイタル・シリーズ

専門家レベルの曲目

 

マルチレベルの

デュエット

 

 

モード・ジャズによる

関連曲・教材

 

 

三和音連続使用

関連曲・教材

 

 

フラッシュカード

 

MUSIC for KEYBOARD

 リサイタル・シリーズ

(ソロ・デュエット)

バロック、古典、ロマン、近・現代の上級レベルの曲

ピアノ・レッスン

音楽のべんきょう

ドリル・ブック

指をきたえる

リサイタル・シリーズ

(ソロ・デュエット)

バロック、古典、ロマン、近・現代の中級〜上級レベル初期の曲

ピアノ・レッスン

音楽のべんきょう

ドリル・ブック

指をきたえる

 リサイタル・シリーズ

(ソロ・デュエット)

バロック、古典、ロマン、近・現代の中級レベルの曲

ピアノ・レッスン

音楽のべんきょう

ドリル・ブック

指をきたえる

 リサイタル・シリーズ

(ソロ・デュエット)

バロック、古典、ロマン、近・現代の初級〜中級レベルの曲

ピアノ・レッスン

音楽のべんきょう

ドリル・ブック

指をきたえる

 リサイタル・シリーズ

       ①ーⅠ

       ①ーⅡ

フォークソング・ピアノブック(会員用)

 キーボード・レッスン

ⅠーA

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Very beginning Duets

KEYVOARD FOR ADULT BEGINNERS

キンダー

音楽をはじめよう

音楽をはじめよう・教師用

初めてのデュエット 

Reading & Writing Ⅰ・Ⅱ

The Way to Play Ⅰ・Ⅱ

モベット

幼児用 音楽をはじめよう

教師用ガイドブック

ゆびのれんしゅうをはじめよう(会員用) 

※1 緑文字音楽之友社から出版されています。

※2 赤文字(会員用)は、新保先生の委託出版につき事務局へご注文下さい。

※3 青文字(英語版の楽譜、他)は「Pace Piano」のHPから注文できます。

ペース・メソッド解説画像

上記は【ペース・メソッド 日本事務局】が発信する資料を元に構成しました。

ロバートペース博士、並びにペース・メソッド研究会事務局に感謝いたします。